2012年9月24日 (月)

小谷宗司様からのメッセージを掲載致しました

小谷宗司「医薬品として用いられる物質」

医薬品は「日本薬局方に収められている物」、「人または動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とする物」、「人または動物の身体の構造に影響を及ぼすことを目的とされている物」という定義が法律で規定されている。生命関連製品であるが故に医薬品を製造するには、医薬品製造業の許可と個別の医薬品の製造承認を受け、全ての製造工程・品質管理工程で厳しい法の範疇でそれはなされている。有効性と安全性に万全の認可を与え医療で用いられる。この解釈は永久に固定されたものではなく、常に流動している。副作用の発現により削除される成分、新たに開発され追加される成分など、時代に即した科学的見地に立脚し措置される。

伝承的医薬品の製造業に人生の大半を携わったものとして、医薬品の本質と法の措置に長らく違和感を持っていた。以下にその一端を記す。

薬理学とは薬物を対象とした生物化学であり、主として生体に対する反応を科学する学問である。薬理作用、薬物の作用機序、吸収、生体内運命、代謝などを総合的に取り扱う。

薬理作用では、選択作用と一般作用、局所作用と全身作用、興奮作用と抑制作用、主作用と副作用などを取り扱う。作用機序では、例えば自律神経系に作用する薬物の薬理学的解説書では、自律神経系には交感神経系と副交感神経系があり、多くの場合両系統の神経が1つの器官を二重支配していて、機能的に相反する影響を与えている。中枢から末梢に至る走行間には神経節が存在し、神経伝達物質としてそれぞれアドレナリン、アセチルコリンが遊離される。これらの物質が遊離されることで気管支が拡張(鎮咳効果)したり、血管が収縮(充血除去効果)したり各奏効器官が運動する。アドレナリン作動薬は神経節に直接作用して奏効器官の働きを強制的に興奮させたり、抑制させたりする。コリン作動薬は同一器官に逆の働きを及ぼす。また、抗ヒスタミン薬は全身の肥満細胞に存在するヒスタミン受容体を選択的にブロックすることで、くしゃみや鼻水を抑える。

このように、薬物の作用機序等を解明することが西洋医学の主流で、理論的にも理解しやすく、薬物有効性の根拠とされる。多くの学者・行政にとって根拠は法的に措置しやすい。反面、抗生物質のように細菌類に対し極めて選択特性が高く人体には全く無害と根拠されていたものが、継続使用によって根拠になかった二次的な弊害を及ぼすことも近年知られてきた。医薬品業界で大きく流動しているのは、このような化学成分の分野である。

かたや、生薬は多成分系薬物であり、含有する個々の成分の薬理学的働きは十分に解明されていない。生薬には多種多様な化学成分が含まれているが、明確な薬効を示すものは少なく有効成分がはっきりしないものが多い。たとえ有効成分が明らかであっても生薬として服用する限りおびただしい種類の化学成分とともに服用していることになる。医学的根拠として、複数の成分の相互作用については全く解明されていない。日本薬局方の解説書で生薬の成分について調査を行った。例えば生薬の茵蔯蒿(インチンコウ)は70種以上の成分が解明されているが、全体としての作用機序は医学的に解明されていない。ましてや品質の根拠となる主要な成分の定量試験も規定されていない。漢方薬は生薬の複合方剤であるため薬理学的な作用機序の解明は不可能とされている。

現代医療の中では、作用機序がほぼ解明されている化学物質や、全く解明されていない伝統的生薬や漢方薬も、医薬品としては同じ位置づけで現実的に用いられている。西洋医学一辺倒の医療界においても、生薬や漢方薬は有効性を否定できない強い力を持っている。むしろ一般用医薬品の領域では、方向性として伝統的な療法が大きな位置づけを占めようとしている。

西洋医学的薬理学他の観点において理解の及ばない有効性に対し否定する根拠は何もない。

「大事なものは目には見えない」時代の潮流はこの言葉に代表される本質に回帰しようとしている。

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